ドメインとは企業が自分で決める事業領域の事で競争するフィールドである。企業全体の事業領域は企業ドメイン・事業部や戦略事業単位の事業領域は事業ドメインと言う。ドメインの決定は戦略的マーケティングを計画する際に全体としての長期的方向を定めることを意味するので、戦略の出発点とも呼ばれる
ドメインの定義は「自社が何の会社であるのか」「自社の事業とは何なのか」と言う問いに答える事で可能になる。ひと昔の企業は属している業界や提供する製品によって自社のドメインを定義していた(例:我が社はビール会社であるなど)しかし自らをビール会社と定義した会社は大きく成長できない、その理由はビール会社とは喉を潤したり、ストレス解消を提供する会社なのに、ビール会社と狭く定義してしまうからである。つまり製品や業界で定義するのでは無く、顧客が製品やサービスに期待する事(市場ニーズ)によって定義することが重要になる
この考え方はレビットが1960年に発表した論文「マーケティング近視眼」で提起され今でもなお重要である
しかし、だからと言って事業の定義を市場ニーズに沿って広げれば広げるほど良いと言うものでもない。広げれば広げただけ資金回収問題や資金分配問題が生まれるこのような問題はマーケティング遠視眼と呼ばれたりもする
そこでエーベルはドメインの定義を①顧客機能②顧客層③代替技術の3次元で定義することを提唱した
顧客機能は「何を(What)」・顧客層は「誰に(Who)」・代替技術は「どのように(How)」に相当する。
企業はどのような顧客ニーズを満たす製品サービスを提供するのか・どのような顧客層をターゲットにするのか・ターゲット顧客層ニーズをどのような方法で充足するのかを定義する事で具体的な戦略計画を検討できる
ドメインは一度決定して終わりでは無く市場ニーズや競争状況、自社経営資源などは常に変化するのでそれに合うようにドメインも再定義しなければならない