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ポーターの競争戦略

企業が長期に渡って平均以上の業績を維持する為には3つの基本戦略が存在する

コストリーダーシップ

コストリーダーシップとは業界内で他社よりも低いコストを実現する戦略で、市場シェアが大きな企業は経験効果(累積生産量が増えるに従ってコストが低下する効果)によって低コストを実現できる可能性が高い。他社と価格水準が同じであればコストリーダーシップを実現する事で高い収益を見込める、そのためさらに低価格を設定してシェアを更に高める事も可能となる。シェアが大きくなくとも独自の技術を持っていたり、他社よりも有利な原材料を確保できたり、自社の他事業との相乗効果が見込めたりする場合は低価格を実現できる可能性がる

差別化

顧客にとって価値があり、他社にはない特異性を実現する戦略で革新的・画期的な製品やサービスを開発したりブランドイメージを高める事で差別化による優位性が実現できる。価格が他社と変わらなければ差別化されている製品やサービスが選ばれるのでシェアを高められる。ただし差別化のタイプによっては模倣される事で優位性を失うこともある。機能や広告イメージによる差別化は模倣によって優位性を失いやすいがブランドイメージや独自チャネルの構築などの差別化は優位性を維持しやすい。差別化を実現するには相応のコストがかかるので一度差別化が実現できたらそれを維持させる努力が必要である

集中

特定の製品やサービス・特定の顧客セグメントに経営資源を集中する事でこの分野での優位性を獲得する戦略で、特定分野でコストリーダーシップを実現することを「コスト集中」、特定分野で差別化を実現することを「差別化集中」と言う。共に集中する範囲を上手く設定する事が重要で市場シェアが小さな企業が競争優位を獲得して高い収益性を得るにはどちらかのタイプの集中戦略が適切となる

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ドメイン

ドメインとは企業が自分で決める事業領域の事で競争するフィールドである。企業全体の事業領域は企業ドメイン・事業部や戦略事業単位の事業領域は事業ドメインと言う。ドメインの決定は戦略的マーケティングを計画する際に全体としての長期的方向を定めることを意味するので、戦略の出発点とも呼ばれる

ドメインの定義は「自社が何の会社であるのか」「自社の事業とは何なのか」と言う問いに答える事で可能になる。ひと昔の企業は属している業界や提供する製品によって自社のドメインを定義していた(例:我が社はビール会社であるなど)しかし自らをビール会社と定義した会社は大きく成長できない、その理由はビール会社とは喉を潤したり、ストレス解消を提供する会社なのに、ビール会社と狭く定義してしまうからである。つまり製品や業界で定義するのでは無く、顧客が製品やサービスに期待する事(市場ニーズ)によって定義することが重要になる

この考え方はレビットが1960年に発表した論文「マーケティング近視眼」で提起され今でもなお重要である

しかし、だからと言って事業の定義を市場ニーズに沿って広げれば広げるほど良いと言うものでもない。広げれば広げただけ資金回収問題や資金分配問題が生まれるこのような問題はマーケティング遠視眼と呼ばれたりもする

そこでエーベルはドメインの定義を①顧客機能②顧客層③代替技術の3次元で定義することを提唱した

顧客機能は「何を(What)」・顧客層は「誰に(Who)」・代替技術は「どのように(How)」に相当する。

企業はどのような顧客ニーズを満たす製品サービスを提供するのか・どのような顧客層をターゲットにするのか・ターゲット顧客層ニーズをどのような方法で充足するのかを定義する事で具体的な戦略計画を検討できる

ドメインは一度決定して終わりでは無く市場ニーズや競争状況、自社経営資源などは常に変化するのでそれに合うようにドメインも再定義しなければならない

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ポートフォリオ・マトリックス

成長戦略の方向性が決まったら、次はどの事業にどれ位の資源を配分するのか考える必要がある。つまり競争を有利に進める為に資源を集中的に投入する事業を決定しなければならない

このための手法として有名なのが、ボストン・コンサルティンググループが開発した「製品ポートフォリオマネジメント(PPM)」である。PPMでは2軸4象限のマトリックスを使って複数の事業を分類する、2軸は①市場成長率と②相対市場シェアである。

花形

市場成長率・相対市場シェアが共に高い事業は「花形」と言う。花形事業は市場シェアが高いので多くの資金をもたらしてくれるが市場成長率が高い成長段階の業界では競争も激しいので追加投資が必要になり、資金の流出も大きくなってしまう。しかし投資を続けて高い市場シェアを維持したまま市場成長率が鈍化すれば収益性の高い事業となり得る。

金のなる木

市場成長率が低く・相対市場シェアが高い事業は「金のなる木」と言う。市場成長率が低い成熟段階ではうまみが少ないので新規参入の脅威が小さく積極的な投資は必要ないが、シェアは高いので競合よりも売り上げは大きくなり、安定した資金をもたらしてくれる。

問題児

市場成長率は高く・相対市場シェアが低い事業は「問題児」と言う。現時点ではシェアが低いので多くの資金はもたらしてくれないが市場成長率が高いので投資を続け高いシェアが得られれば花形へとなってくれる可能性があるので金のなる木で得た資金を投資する先でもある。ただし失敗するリスクもあるので撤退する決断も必要になる。

負け犬

市場成長率・相対市場シェア共に低い事業は「負け犬」と言う。ここに投資をしても市場成長やシェア拡大は見込めないので売却や撤退を検討する。

それぞれの事業には4つの戦略代案がある。第1は短期的な利益を犠牲にしてでもその事業のシェアを高くしようとする「拡大戦略」でこれに適しているのは問題児や2位と差が小さい花形である。第2は現状のシェアをキープする「維持戦略」で花形や成長率の高い金のなる木に適している。第3は投資を少なくし短期的な資金流入を増やす「収穫戦略」で金のなる木や負け犬に適している。第4は売却や清算する「撤退戦略」で負け犬に適しているが問題児でも早期に決断する場合もある。

拡大・維持・収穫・撤退の各戦略は各事業でのマーケティングマネジメントにも影響を与える。拡大戦略では製品デザインは先端的で差別化・製品ラインは多様化、価格は製品価値に対応、プロモーションセールスは需要拡大、流通は広範である事が求められる。それに対し収穫や撤退戦略では製品デザインはコスト削減、製品ラインは縮小、価格はマージン志向、プロモーションセールスは最小コスト、流通もマージン志向が求められる。

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戦略的マーケティング

戦略的マーケティングとは「個々の製品やブランド単位では無く事業や企業単位で環境変化と自社経営資源の適合を志向するマーケティング」の事である

この考え方が生まれた背景は製品・ブランド単位の枠組みのマーケティングマネジメントでは複数製品や複数事業を有する企業や事業部での意思決定に活用しにくいからである、つまり戦略的マーケティングは経営者層の意思決定問題を考える為に生まれた

戦略的マーケティングでは複数の事業を持つ企業がどのように顧客や競争の変化に対応していくかを考える、その際の重要なのが「限られた経営資源をどのように分配するのか」と「計画・実行する戦略と環境・経営資源の適合性」である

成長戦略

限られた資源の分配を考える為にまずは全社レベルでの成長戦略を見据える必要がある。成長の方向性を整理する基本的な枠組みとして有名なのがアンゾフの「製品-市場戦略」である。開発・販売する製品が既製品か新製品か、販売対象が既存市場か新規市場かの2軸で整理する事で4つの成長戦略類型に分類できる

①市場浸透

自社にとって既存の製品を既存市場に提供しながら成長を図る

②市場開発

自社にとって既存製品を新規市場に提供して成長を図る

③製品開発

自社にとって新製品を既存市場に提供して成長を図る

④多角化

自社にとって新製品を新規市場に提供して成長を図る。多角化は既存事業との関連度合いによって「関連多角化」と「非関連多角化」の2つに分けられる。関連多角化は既存事業と何かしらの相乗効果が期待できるメリットがある、非関連多角化は新しい事業に乗り出す事になるので様々なリスクが想定されるので買収が有効となり、どちらかの事業が不振でももう一方には悪影響を及ぼさないというメリットがある