まず最初にそもそも「マーケティング」とは何かと言いますと
「顧客の欲求と満足を探り・創造し・伝え・提供することにより、その成果として利益を得る事」とされています。
しかし、実際に多くの方は「マーケティング」とは企業の販売活動や広告活動を思い浮かべるのではないでしょうか?
もちろん販売活動や広告活動もマーケティングの重要な課題の一つですし、マーケティングに関わっているビジネスマンですら「マーケティングとは?」と言う問いに対し「広告などにより販売促進をする事」と捉える人もいれば、「市場調査を実施する事」と認識している人もいる。
これもまたマーケティングの重要な課題ではあるがモノがあふれている今日では販売促進や市場調査だけでは不十分で顧客が求めている本質を見極め、新しい価値を提供しなければならない。
マーケティング理論に基づいた活動では常に起点は「顧客ニーズ」から展開をする。
つまりマーケティングとは企業側から見た「売り込む方法」ではなく、顧客側の視点に立った「売れる仕組みづくり」と言える。
マーケティング・マイオピア
(近視眼)
日本企業の多くは素晴らしい技術力で世界との競争を有利に戦ってきた、過去には消費財企業や生産財企業において優れた技術力で高品質の製品を提供し市場をリードしていたが、技術力を高める事ばかりに集中していた企業は顧客への意識が薄くなり「価格が手ごろで品質が良ければ支持される」と言った考えに陥りやすくなる。
このように優れた技術による製品開発で活路を見出そうとするビジネス理論を「製品コンセプト」と呼ぶ
アメリカの経営学者のドラッカーは「ビジネスの基本はイノベーションとマーケティングである」と言ったように優れた技術力は市場競争を有利に進めるうえで必要不可欠だが、技術力ばかりに集中してしまうと顧客ニーズの本質を見失ってしまう。
マーケティングでは「マーケティング・マイオピア(近視眼)」という言葉を使い、技術力ばかりに目を向けないよう注意を払っている。
製品コンセプトとマーケティング・コンセプト
製品コンセプトの考え方は重要ではあるが、それだけでは顧客ニーズを見失うので製品コンセプトを補う理論「マーケティング・コンセプト」が生まれた
マーケティング・コンセプトとは顧客ニーズを出発点にビジネスを考える
製品コンセプトでは生産者の自己満足が追及されがちだが、マーケティング・コンセプトでは戦略的に顧客満足が追及される。
理想的なマーケティング・コンセプトの元では、顧客ニーズを反映したモノづくりが追及され、口コミで品質の良さが広まるため、販売促進活動が不要になると言われる
上記でも紹介したドラッカーは「マーケティングの最終目標は売り込みを不要にすること」と述べている
製品コンセプト | マーケティング・コンセプト | |
起点 | 生産現場 | 顧客ニーズ |
視点 | 組織内から組織外へ | 組織外から組織内へ |
対処法 | 製品改良 | 統合型マーケティング |
志向 | 職人的 | 戦略的 |
目標 | 製品の完成度と自己満足 | 顧客満足 |